★3『園芸少年』(魚住直子 / 森永あい)を読んでみた。
どーも、サケビです。
今回は、
『完結漫画を最後まで読んでみた』のコーナーです。
今回紹介するマンガは、小説のマンガ化作品です。原作の小説が人気のようなので、一定の面白さは保証されたような作品ですが…
果たして、サケビの評価はどうなのでしょうか?
作品はコチラ
『園芸少年』(原作:魚住直子、作画:森永あい)、全1巻
ジャンル:少女コミック、ヒューマンドラマ
キーワード:コメディ、学園、幼馴染・同級生、高校生、ほのぼの・癒し
掲載誌:なかよし
発売時期:2011年4月
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《内容》
(※サケビの解釈です)
とある高校で、コンプレックスを抱えた3人が園芸部活動を通して友情を育み、自らを曝け出してコンプレックスを克服し、成長していく物語。
《登場人物》
篠崎。「高校生活をてきとーに過ごす」を合言葉に園芸部に入部。でも、園芸の事は全然知らない。
大和田くん。ヤンキーだけど園芸部員。
庄司。段ボールを被って生きる事を決めた男。カブリ物をしているという一点でシャア的な存在。ザビ家打倒のため、園芸部に潜入入部する。
《感想》
かなり面白かった!
まぁ、原作小説が人気で、その人気を受けてのマンガ化だろうから、内容が良い事は当然なんだけどね。
ここで、小説作品のマンガ化について、ポイントの整理をしておこうかと思います。といっても、サケビの独自の解釈なので、その点は悪しからず。
小説からマンガ化されるときのポイント
- キャラクターのビジュアル
- 状況の伝わり方
- ストーリーや設定のアレンジ
- 作画担当者の作家性
1.キャラクターのビジュアル
これは言わずもがなですが、マンガになるとキャラクターの顔やスタイルが見た目でわかるようになります。小説のときには、それは説明文だったり、キャラクターのしゃべり方や行動から感覚的に想像していたのが、マンガになるとそれが目で見てわかるので、視覚的に理解できるようになります。ここが、重要なポイントかと。
原作小説を読んでいる読者からすれば、マンガ化されたときのキャラクターが、自分の想像していたイメージと同じかどうか?で、マンガ化作品に対する印象が大きく変わってしまいます。イメージに合っていれば合格で、更にそのキャラクターが魅力的に見えていることが望まれます。
でも、これって評価基準が「読み手のイメージにあっているかどうか?」なんですよね。そんなん読み手が全員同じイメージしていたわけではないから、全員に満足のいく絵になっていることなんて不可能。作画担当者だって読み手の一人なわけですし、作画担当の絵の個性だってあります。だから、一定の割合で「イメージと違う」といって、ダメ出しされてしまうものなのだと思います。賛否両論が生まれて当然なのかと。
2.状況の伝わり方
小説って、読み手が想像して世界を動かしていく作品なので、実は自由度が非常にある媒体です。例えば、何か事態が起きている一瞬の間にキャラクターが複数の行動をしたり、些細なヒントから謎を解いたりできます。でも、マンガ作品になるとその自由度は狭くなります。なぜなら、視覚的に見えてしまうから。
それを、私が一番強く感じたのが森見登美彦の『夜は短し歩けよ乙女』です。この作品、幻想的な場面がいっぱい出てくるのですが、読んでいるときから「これってどんな状況なんだ?」とよくわからない。でも、そこが逆に幻想的な情景を作り出している要因であって、物語世界を膨らませているのだと感じていました。でも一方で、マンガ化されたときにはその「よくわからなかった状況」が絵で見てわかるようになってしまいました。その結果、一気に世界が狭くなったように感じてしまいました。
先ほどの例は伝わりにくかったかも知れませんが、小説→マンガ化でよくあるのが、「お話の無理が際立ってしまう」現象です。推理小説でよく起きることですが、小説では気がつかなかったことが、絵にしてみると到底無理がある状況に気づく、というもの。絵で状況が整理されるので、見えてきちゃうんですよね。
3.ストーリーや設定のアレンジ
これも小説のマンガ化でよくあることですよね。主人公の性別が逆になっていたり、結末が変わっていたり。これは、どちらかというと読者に興味を持ってもらうための工夫の場合が多いと思います。だって、原作小説読んでいる人は、最後まで読まなくったって結末を知っているのだから、読んでいるうちに興味が持てなくなってきます。そこで、興味を持続させるための工夫が『ストーリーや設定のアレンジ』という部分に出てくるのだと思います。
4.作画担当者の作家性
マンガって、絵に作画担当者の作家性がでてきます。キャラクターの表情だったり、絵の質感だったり、コマ割りだったり。原作からアレンジしていなくったって、端々に表れてくるものですので、どうしようもないっちゃあどうしようもないのですが。
でも、その作家性の部分で、面白い作品になるかどうかも関係するから侮れない。もうこれは、作品との相性みたいな部分もありますよね。
先日、漫☆画太郎先生の『星の王子さま』を取り上げて、大絶叫しましたが、この作品の場合、キャラクターのビジュアルはイメージしていたものとはかけ離れており、状況はよくわからない部分を際立たせており、設定は大幅にアレンジされた、非常に作家性が強い作品になっていました。漫☆画太郎の『星の王子さま』の場合は、ギャグ漫画でパロディ作品なので、上述のポイントとは違うのかも知れませんが。
脱線が長くなりました。
本作『園芸少年』の場合ですが、私は原作小説を読んでいないので、上述の1~3のポイントについてはよくわかりませんが、4.作画担当者の作家性がとても良い方向に働いた作品だと思います。要は、マンガ化するときの相性が良かった。
各キャラクターがのびのびと動いており、魅力的に描かれている。コンプレックスの部分もわかりやすく、真剣に、でも「ちっぽけなこと」とクスっと笑えるような仕上がりになっている。これって、森永あい先生の作家性の部分なんだろうと思う。
《サケビの評価》
- 雑学度:3
- 友情度:4
- 読後感の良さ:5
- オススメ度:5
- 掘り出しモノ度:3
原作小説が人気なようなので、掘り出しモノ度は少し低くしました。でも、かなり面白くて良い作品でしたヨ。
《補足情報》
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《関連作品紹介》
森永あい先生の作品といえば、『山田太郎ものがたり』。読んだことありませんが…
表紙の構図は、『園芸少年』と同じですね( 縦にタイトル書かれていて、その両脇に主人公が描かれている)